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15 December 2008

イタリア旅行記 - Vol.5

いよいよ本旅行のクライマックスが近づいてきました。
後半にこのアバドの演奏会が控えているからこそ "最高の旅にしたい!" という強い思いが常に心のどこかにあって、それがミラノやフィレンツェでの観光をより充実したものにしてくれた気がします。

ところが、順調に書き進めてきた(つもりの)この旅行記・・・、いざアバドの演奏会の部分になったら言葉が出てこなくなりました。
その時の自分の気持ちは鮮明に思い出せるのに、肝心なアバドの演奏に関しては言葉を失ってしまうのです。いや、安易に言葉になどしたくないのかもしれない。でも、ここで中断するわけにもいかないので、言い足りなかった部分は後ほど加筆させていただくことにして、とりあえず書きます。そう、とりあえずです。

11月26日(水) sun
5日目 ~レッジョのアバド

この日は朝食を済ませたあと、お土産を買いに中心部のほうへ出かけていきました。ボローニャ行きの列車は15:24発なので、ホテルに交渉してチェックアウトの時間を2時まで延長してもらいました。

ホテルのレストランからの眺め。

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目星をつけておいたお店をいくつか回り、両親への革製品のお土産と自分へのカジュアルなバッグを購入。だんなは 「俺の土産はしおりでいい」 とTabacchiで買ったフィレンツェのしおりをガイドブックにはさんで満足げでした。なんて金のかからない良き夫だことcoldsweats01

買い物が終わると飽きもせずまたアルノ川のほうへ出て、橋からの眺めを楽しみながらホテルに戻りました。

"もーいいっ!" って言われそうだけど、この日の写真から smile

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会 (camera 拡大あり)。

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秋の空に向かって伸びるジョットの鐘楼 (camera 拡大あり)。

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サンタ・トリニタ橋から見たヴェッキオ橋 (camera 拡大あり)。

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サンタ・トリニタ橋から見たカッライア橋 (camera 拡大あり)。

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路地に入ると意外と静かで暗い感じ (camera 拡大あり)。

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マスクを売っているあたりがいかにもイタリア。

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=== 15:24 FirenzeからBolognaへ bullettrain ==========

ボローニャはフィレンツェ(サンタ・マリア・ノヴェッラ駅) からESで約1時間。ミラノともフィレンツェともまた違った活気のある賑やかな街です。

ホテルに着いていそいそと支度を始めるとえもいえぬ緊張感が・・・。

ついにこの日がきてしまったよ sign03
ううっ、夢にみたイタリアでのアバドのライブだよ~ crying

レッジョ・エミリアはボローニャから電車で約30分train
20:00開演なので18:00にはホテルを出ましたが、外はもう真っ暗だし寒いしで何だか不安になりました。
さらに不安なことに、私としたことがレッジョの歌劇場 Teatro Valli の場所を調べておくのを忘れていたのです(ついでに言うならモデナのほうも!)。
まぁ、駅に着けばアバドのコンサートに向かう人々が沢山いるはずだからその人たちについていけばいいや。とにかくそれだけが頼りでした。

レッジョに着きました。誰もいません coldsweats02 (超焦)。
はっきり言って人っ子一人いませんでした。

駅には駅員もいないし近くに交番らしきものもないので道を聞けるような人もいません。タクシー乗り場にはタクシーもない。
しばらく途方に暮れているとようやくタクシーが一台滑り込んできました。ホッとして涙が出そうになりました。

ヴァッリ歌劇場はタクシーを飛ばしても結構な距離のところにありました。ほんと、肝心なところで準備不足もいいところ。これで開演に間に合わなかったなんてことになったら一生自分の愚かさを悔やむことになっていたでしょう。

開場時間をちょっと過ぎた頃にどうにかTeatro Valli到着しましたが、なかなか開場にならず狭~い入り口の前で大勢の人が押し合い圧し合いのおしくらまんじゅうのような状態でドアが開くのを待ちました。
年配の方が多く見受けられ、そこはすでに社交場のような雰囲気です。

ようやく中に入った時は既に開演の10分前くらいになっていましたが、誰も時間などまったく気にしていない様子でした coldsweats01

この日の席は平土間の中央よりやや後方の右手寄り、なかなかいい席です。オケのメンバーが登場し始めると期待の拍手がパラパラと起きました。
ついに待ちに待った時がきたのです!



=== 20:00 レッジョでのコンサート note ==========

 指揮:クラウディオ・アバド
 マーラー室内管弦楽団

 ベートーヴェン: レオノーレ序曲第3番 作品72
 モーツァルト: ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488
          Margarita Hohenrieder (Pf)
 ベートーヴェン: 交響曲第3番 変ホ長調 作品55《英雄》

 (2008年11月26日 / ヴァッリ歌劇場, レッジョ・エミリア)

大きな期待の拍手を受けてアバドの登場です。
マエストロはとっても元気そう!
燕尾服ではなくスーツ姿です。

拍手が止まないうちにレオノーレの一発目の音が響いてきました。
ああ、この歯切れのいい溌剌としたアンサンブル・・・マーラー管の音だなぁ。演奏が始まるとようやく実感がじわじわと湧いてきました。アバドの指揮は、オケから出てくるひとつひとつの音を心から慈しむかのように感じられました。
ppの美しさにも魅せられましたが、やはり圧巻はコーダからの盛り上がり。ぞくぞくするほどのテンポ感とこのコンビならではの大いなる希望を感じさせてくれるようなドラマティックな演奏に気持ちがどんどん高められ、気がつけば序曲が終わった時点ですでにノックアウトを食らっておりました。
これがアバドだ・・・。

レオノーレが終わり、舞台右手にあったピアノが中央に移動されます。
一瞬、ピアノでアバドの指揮姿が見えなくなるのでは、とヒヤリとしましたが、大丈夫だったのでホッとしました(^^;。

モーツァルトのピアノ協奏曲23番は、個人的にとても思い入れのある曲のひとつです。おまけに、アバド&ゼルキン盤をこよなく愛する身として、今回は一体どんな演奏を聴かせてくれるのかとても楽しみでした。

Margarita Hohenrieder(マルガリータ・ヘーエンリーダー)は、ミュンヘン生まれのブゾーニピアノコンクールでの優勝経験を持つピアニストです。

エレガントでありながらも非常に躍動感のあるオケをバックにダイナミックなピアノが絶妙に絡み合い、何とも心地よいモーツァルト。オケの勢いに負けることなく、シンプルな表現力で真っ向勝負というイメージが気に入りました。

ベートーヴェンを聴いている時はもう少しホールに音響が欲しいと感じましたが、モーツァルトでは逆にこの音響だからこそピアノがオケに埋もれずにしっかりと届いてくるのかな、とも思いました。

2楽章も情に溺れ過ぎず、美しさの中にも生き生きとした表現が印象的。全体的にオケの色彩も1曲目のベートーヴェンとは明らかに違った豊かさが感じられました。

ところで、この演奏会の2曲目は当初ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番でした。Teatro ValliのWebサイトでモーツァルトに変更されたと知った時はちょっとがっかりしましたが、お陰でこの珠玉のモーツァルトを聴くことができて感激です shine

後半はこの日のメインプログラム、ベートーヴェンの交響曲第3番 《英雄》。

この演奏会の感想を書くにあたって言葉を失ってしまったのは、この3番が原因といえるかもしれません。とにかく私の知る限りの言葉ではとても表現できないのです。もっとも、過去のアバドの演奏会を振り返っても満足のいく感想など書けたためしは一度もないので、今更ジタバタしても仕方ないのですが・・・。

それはまるで自動でセットされた数え切れないほどの音たちがアバドの動きによって微塵の狂いもなく出てくるような ― もちろん機械的とか無機質とかそんな意味ではなく ― これほど指揮者の要求に的確に(いやそれ以上に!)反応するオケが存在すること自体が奇蹟としか思えませんでした。

心がひとつになって何かに向かっていく時のアバドとオケの凄さはとても言い尽くせないことを、きっとこれをご覧になっている方なら痛いほどわかって下さることでしょう。

アダージョ楽章は予想通りの集中力の高さで聴かせてくれましたが、それを払拭するかのような軽快なスケルツォがまた素晴らしく、フィナーレはそれらを遥かに凌ぐ神懸り的な演奏となってエネルギーを爆発させて見事に燃え尽きました。
目の前に次々と押し寄せてくる大きなエネルギーを受け止めるのに必死だった自分もまた曲が終わると完全燃焼状態&放心状態になっておりました。今でもこの4楽章を思い出すだけで体中に気が漲ってきます。
ああ、これがアバドだ confident heart04

今までアバドが録音したこの曲の中で今回の演奏に一番近いものというと、やはりベルリンフィルとのローマ公演になるかもしれません。
でも、指揮者の指し示す方向に全幅の信頼を寄せるこのマーラー管であればこその自信と誇りに満ちた演奏は、"今アバドが最もやりたいベートーヴェンはこれなのだ!" という確かな説得力を持った演奏でした。

最後の音が消えないうちに割れんばかりの拍手とブラボーがかかりました。女性からの「ブラボー!」や「アバド~!」という声も沢山聞こえてきました。今回はアウェイなので控え目にしていた私も、ついに我慢できなくなり最後に一際大きな声でブラボーを叫びました。いやー、スッキリしました happy02

MCOをアバドの指揮で生で聴くのは初めてでしたが、改めてオケの力量の高さにただただ驚くばかりでした。

でも本当に舌を巻いたのは二日後のフィデリオの演奏でした。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・  ・

演奏会が終わった後の Teatro Valli (camera 拡大あり)。

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この日のプログラム。
そしてようやく手にできたチケットと入り口で配られていた記念のチョコレート。

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Comments

マエストロの"超演"に、すっかりノックアウト状態の体ですね。いやぁ、羨ましい!!
ところで、マーラー室内、ハーディングで聴いたとき、あっけにとられました。若い奏者たちなのに、物凄く自発的で自由なオーケストラ。これでマエストロが振ったらどのような結果になることか・・・。
「フィデリオ」のフィナーレのしつこさには辟易としますが(新国でショクアタリしましたです)、マエストロはどう指揮したのか?続きが楽しみです。

Posted by: IANIS | 15 December 2008 at 21:14

IANISさんのコメントを拝見して、そういえば私も過去にハーディング&マーラー室内管の来日公演を聴いていたことを思い出しました(しかも英雄でした^^;。そう考えるとやはりこのオケの進化は目覚ましいものがあります!

フィデリオは・・・ふっふっふ、お楽しみに!smile

Posted by: ゆうこ | 18 December 2008 at 00:13

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